●第一歩からの付き合い
蘆田孝公さんに初めて会ったのは、以前、勤めていた会社の現場でした。彼は屋根屋として、私は大工として、その仕事に関わっていました。
その仕事ぶりや話した印象から、男気のある、正直に物を言う瓦屋さんだと好感を持っていたので、私が独立して初めての仕事で、迷うことなく、彼に声を掛けました。
蘆田瓦工業は、木香房ゆらの第一歩に関わってくれた業者、ということになりますね。
●私が求める屋根屋像の体現者
蘆田さんは、雨漏りをしてるからあのお家に行ってあげて、と頼むと即座に応じてくれます。お客さんときちんと話をして、自ら窓口になって仕事を進めてくれます。
私たちは、職人主導で仕事を進めています。例えば、蘆田さんが電気工事のお話を伺ってきたら、彼が直接電気工事屋さんと話をします。それぞれの領域のことは任せます。私が間に入るようなことはしません。
便利な反面、難しさもあります。それぞれが看板を掲げる者同士、それぞれの仕事に忙しいのです。しかし、自分の仕事だけを優先させた人には、厳しく言います。チームで仕事すると決めたら1つになって動くことを徹底しなければなりせん。お客さんは連携の良さを期待して、依頼してくれているのですから。
また、蘆田さんは、お客さんとの打ち合わせでは、屋根のことはもちろん、それ以外のことも的確に聞いて判断し、対応してくれます。
でも、あくまで仕事は受けるが、扱うのは瓦に関わる部分だけ。変に欲張ったりもしない。現場で葺いていれば幸せ、というスタンスです。そこも彼の男気を感じるところです。
木香房ゆら協力会の面々。
専門分野の仕事の質は言うに及ばず、蘆田さんは、それらのことを完璧に理解していて、私が屋根屋さんに求めることを、その仕事ぶりで体現しています。
2010年、木香房ゆらに関わる職人たちで、“木香房ゆら協力会”を発足させたのですが、やはり初代会長は蘆田さんです。今まで仕事をしてきた経験から、会長を任せられるのは彼しかいないと思いました。
特に初代というのは何かと難しいと思いますが、日常の仕事に加えて、会長として、まめによく動いてくれます。
協力会主催の安全講習会にて
●正に職人
現状に満足せずいつも挑戦するテーマを持って取り組む。瓦や工法について新旧を問わずよく勉強する。難しいことを簡単に見えるようにやってのける。
彼は、正に職人、という人間だと私は思います。
良い職人は皆そうですが、一般の人が見ても、職人が見ても、誰が見ても良いと言える仕事を、誰も見てなくても、絶対にします。それは自分の名誉のためだからです。蘆田孝公さんは、まさにそういう男です。
他人が言葉にしても伝えきれるものではないので、ブログなどで、彼のスタイルを多くの人に知ってもらえると嬉しいと思います。
●こだわり派
蘆田さんの仕事は、打ち合わせから工事まで、とても細やかで正確です。例えば「おさまり」が悪くて、後になって大工が切らないといけないということは全く起きません。一度、トップライトが入ることを黙っていたら、話が違う!と飛んできました。それでも、すぐに対応してくれるのですが。
彼の職人向きの几帳面さは、きっと元々の性格なんでしょう。遊びにもよく表れています。
釣りに行くのに、道具の指差し確認。まずは並べて、あれよし、これよし。鞄に詰めて、あれより、これよし。鞄をトランクに入れたら、もう一度。ご飯を済ませて、もう一度。まるで子どもが明日に控えた遠足の準備をしているかのようでした。
“協力会”のゴルフコンペでは、上から下まで、あるブランドに統一して登場。サングラスまで同じブランドという凝りようです。B型のカチカチのこだわり屋さんですね。
●これから望むこと
来てほしい時に駆けつける、見積もりも早く出してくれる、工期の管理もよく出来る。職人として、力を合わせて仕事をする者として、申し分無いとしか言いようがありません。
これからの蘆田さんに望むこといえば、ゴルフが僕より下手になってほしい…、というのはウソで、蘆田瓦工業を、もっとたくさんの人に知ってもらって、大きく育ててほしいですね。